労使宣言と決意

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1962年2月トヨタ自動車工業株式会社は、トヨタ自動車労働組合との間で「労使宣言」を調印しました。これは労使の話し合いによって問題の解決をはかるという労使相互の信頼関係を確認したもので、目前に迫った貿易自由化と企業間競争の激化という難局を労使一丸となって乗り越え、「世界のトヨタ」への飛躍を期そうとする思いから具体化したものでした。
そして34年後の1996年1月には「企業の繁栄が、そこに働く者の幸せにつながる」との確固たる信念のもと、「21世紀に向けた労使の決意」を発表しました。

labor and management 労使宣言の要約

下記の三つの基調の上に立ち、「品質性能の向上」「原価の低減」「量産体制の確立」をはかる。

1.自動車産業の興隆を通じて、国民経済の発展に寄与する

わが国の基幹産業としての自動車産業の使命の重大さと、国民経済に占める地位を認識し、労使相協力してこの目的のため最善の努力をする。とくに企業の公共性を自覚し、社会・産業・大衆のために奉仕するという精神に徹する。

2.労使関係は相互信頼を基盤とする

信義と誠実をモットーに、過去幾多の変遷をへて築きあげてきた、相互理解と相互信頼による健全で公正な労使関係を一層高め、相互の権利と義務を尊重し労使間の平和と安定をはかる。

3.生産性の向上を通じ企業の繁栄と、労働条件の維持改善をはかる

そのために、労使は互に相手の立場を理解し、共通の基盤にたち、生産性の向上とその成果の拡大につとめ、その上にたって雇用の安定と労働条件の維持改善をはかり、更に飛躍する原動力をつちかわなくてはならない。会社は企業繁栄のみなもとは人にあるという理解の上にたち、進んで労働条件の維持改善につとめる。また、組合は生産性向上の必要性の認識の上にたち、企業の繁栄のため会社諸施策に積極的に協力する。

21st century 21世紀に向けた労使の決意の要約

1.グローバル企業としての世界経済の発展に寄与するとともに、国際社会への貢献を果たす

21世紀を社会にとって、またトヨタにとっても真に豊かなものとしていくために、人や社会、地球環境、世界経済との調和を図りつつ、われわれと関わりのある多くの人々とともに、労使相たずさえて新たなる成長を図る。

2.労使関係は相互信頼と相互責任を基盤とする

健全で公正な労使関係の基盤である相互の義務の履行と権利の尊重を遵守し、互いに労使相互信頼の精神を末永く引き継いでいく。

3.いきいきと働くことのできる企業風土づくりと、より高い付加価値の創造に向けて労使は共通の基盤に立ち、それぞれの役割を全うする

会社は企業繁栄の源は人にあるという理解の上に立ち、働く者がいきいきと創造性を発揮できる企業づくりに努めるとともに、生活の基盤である雇用の安定と労働条件の維持・向上に進んで努力を尽くす。
組合は、働く者の真に豊かな生活を実現していくためには企業基盤の維持・強化が不可欠であるとの認識のもとに、国際的な視野に立ち、高い付加価値に裏付けられた国際競争力の向上に向けて自ら精進・努力し、会社諸施策に積極的に協力する。

4.日本全体を視野に入れ、働く者に真に豊かな社会・生活を実現する

企業労使の繁栄のみならず、広く日本の働く者の豊かな生活の実現に向け、企業活動・組合活動のあらゆる分野において、日本の進路を切り拓く気概を持ち、リーダーシップを発揮していく。